利用する上で知っておきたいこと

ドキシペップとは？

性行為後72時間以内に抗生物質を内服することにより、梅毒・淋菌・クラミジアの感染リスクを下げることができる予防法です。

内服方法

性行為後72時間以内に2錠の抗生物質を飲みます。行為後なるべく早めに飲んだ方が予防効果は高いとされています。
抗生物質の種類は、「ドキシサイクリン」（商品名：ビブラマイシン）というものになります。

予防効果

・梅毒・クラミジア : 約70〜90%
・淋病 : 約50〜60%

どんな人にドキシペップがおススメ？

・過去に梅毒、クラミジア、淋病に感染したことのある方
・風俗やAV業界でキャストとして勤務されている方
・風俗などでの性病感染（梅毒・淋病・クラミジア感染）が心配な方
・マッチングアプリや不特定多数の方との性行為で性病感染が心配な方
・アジ―（アジスロマイシン）を個人輸入や通販で購入されている方
・ドキシサイクリンを通販で購入検討されている方など

副作用

吐き気、下痢、腹痛などの消化器症状や、頭痛、倦怠感などを一時的に感じる方がいます。また、毎日飲むような飲み方をすると、日光過敏症や色素沈着を起こしてしまうことも知られています。
特に吐き気は空腹時にこの抗生物質を飲むことで起こりやすいため、食後に飲むことをお勧めします。

注意事項

1. 事前に検査をしましょう
ドキシペップで使う薬は、実際に性感染症の治療の際にも使われる薬です。特にクラミジア感染症の時には「1回1錠1日2回 7日間（計14錠）」で内服します。ドキシペップは2錠だけ飲みますので、もし「すでにドキシペップを飲む前に知らない間に感染をしていた」とすると、少ない量の抗生物質が体内に入ることになります。そうすると体内で抗生物質が効かない・効きにくい菌「薬剤耐性菌」が出現してしまうリスクがあります。そのため、ドキシペップを飲む際には、「今、感染していない」ということを確認しておくことが重要です。

2. 定期的な検査を受けましょう
ドキシペップの予防効果は100%ではありません。そのため、防ぐことができずに感染してしまうことがあります。また、感染しても症状が必ず出るわけではなく、無症状のままの方が多いことが知られています。これを確認するためには、行為があってから1-2か月たってから検査をすると良いです。実際に感染をしても、検査で陽性となるには時間がかかるためです。

3. 症状が出たときはすぐにクリニックへ
ドキシペップを内服したにも関わらず、何かしらの性病の症状が出てしまった際には、すぐにクリニックへ受診してください。
①ドキシペップで防ぎきれず、梅毒・淋病・クラミジアにかかってしまった
②別の感染症に感染してしまった、

いずれかの可能性が高いです。

4. 女性におけるドキシペップの有用性について
女性に対する効果は「効果あり」となっているものと、「効果なし」となっているものが共に存在し、最終的な結論はでていません。ただ、効果なし、とする論文では、「しっかり薬が飲まれていなかった」ことが推察されています（約30%しか飲んでいなかった）。また、膣における薬剤濃度もしっかり保たれていたことがわかっています。
このことから女性に対しても以上のことをご理解いただいた上で処方を行っています。

専門医からのメッセージ

新しい予防法であり、聞いたことがない方も多いと思います。これまで性感染症の予防といえば「コンドーム」の一択でしたが、そこに新たな選択肢が加わりました。
まだ確実なデータがそろっていないのも事実ですが、上記に示したようなすでに判明している事実だけでも、とても有用な予防法といえると思います。特に梅毒には高い予防効果を示しており、近年の梅毒感染者数の増加に歯止めをかけることができる唯一の対策法だと思っております。
適切な検査を行い、その後のフォローアップがしっかりできる感染症専門医のもとで、安心してドキシペップを受けていただきたいと考えております。

参考文献

https://sti-check.com/medical/doxy-pep-lp/